CTとはX線を使って人体の断面像を作成し、人体の隅々までよく観察できるように開発された検査法です。X線を人体に曝射して、人体内部でのX線の吸収の具合をコンピュータ上で計算して、画像を作ります。この画像を作る過程では人体内部の複雑な構造の重なりを避けて、前後、左右、上下の関係が分かりやすくなるので、同じく、X線を使うレントゲン写真より、何倍もの情報を正確に得ることができることができます。そのため、患者さんの病気の診断や治療法選択の判断に大変有用です。最近は機械の高速化が進み、実際に患者さんが検査を受けている時間は10分程度で済んでしまいますので、精密検査でありながら、すぐに施行することができる”敷居”の低い検査として、日夜大活躍しています。ただ、便利だからと言って、一人の患者様に頻回のCT検査を行うことは被曝の問題もあるので、注意が必要です。効率よい検査ができるように北海道大学病院 放射線診断科ではCT検査内容に関して、臨床現場の医師達に積極的なアドバイスや指導を行っています。
実際の検査は北海道大学病院のCT検査室で行います。現在北大病院では現在320列、128列、80列の3台のCT(写真1~3)があります。高速撮像による心臓CTや3次元画像を作成できるので、病気や人体の構造が立体的に把握できるようになり、臨床の現場で実際に診療を行う医師達からは「診断が分かりやすくなった」「患者さんへの説明が楽になった」「術前のプランニングや治療が楽に行えるようになった」などの声が寄せられ大変好評です。
また、放射線科CT室に隣接して、放射線診断医が常駐する読影室(写真4~6)があり、CT検査終了後、検査結果に対して読影(診断)を行い、検査依頼を行った医師に対して読影レポートを送っています。CT読影室は放射線診断医が活発にディスカッション出来るようオープンスペースとなっています。時には他診療科の先生が相談に訪れます。また、コメント内容の質を保つため、放射線診断専門医の資格を持つ上級医師が資格未取得の放射線科医師や研修医を指導する体制をとっています。