核医学

歴史的に核医学は装置・薬剤・解析法の3つが一体となって発達してきましたが、当教室においてもそれぞれの研究に力を入れてきました。

装置

2010年代前半まで日立製作所と共同で頭部専用半導体PET装置を開発してきました。半導体PETは従来のPETに比べて空間分解能が高く、より小さな病変を画像化することができます。一方でPETのガンマ線(511keV)に対して半導体は十分な感度を発揮することができないため、近年ではシンチレーターとシリコン光電子増倍管の組み合わせが主流となっています。このコンセプトでPhilips社が開発したVereos®装置を当教室ではいち早く導入し、研究に用いています。その他、最新の画像再構成技術と組み合わせることで、使用する放射性薬剤やX線の量を減らして同等の画像を得ることを目指した研究にも取り組んでいます。

薬剤

FDGによる脳腫瘍の診断には限界があるため、C-11標識メチオニンの保険収載を目指した先進医療Bに取り組んできました。また、低酸素を画像化するF-18標識fluoromisonidazole (FMISO)を使って、脳腫瘍、頭頸部癌、肺癌、心臓サルコイドーシスの診断の研究に取り組んできました。また、FMISOは検査に時間がかかるという欠点があるため、これを改良したF-18標識DiFAを日本メジフィジックス社と共同で開発し、First-in-man試験および実際の腫瘍低酸素の画像化に取り組んできました。このほか、C-11標識hydroxyephedrineによる心臓交感神経イメージングや、I-123標識IIMUによる腫瘍イメージングにも取り組んでいます。

解析法

近年注目されているartificial intelligence (AI)研究、とくに深層学習(deep learning)を用いた研究に当教室でも取り組んでいます。患者誤認事故を防ぐことを目指して画像から性別、年齢、体重を予測する研究も行っています。また、FDG PET-CTの悪性所見有無を予測するAIや心臓サルコイドーシスを診断するAIの開発にも取り組んでいます。また、深層学習以外にも、radiomicsと呼ばれる分野でいくつかの研究成果を発表しています。