研修紹介

若手放射線科医の声

  • 岡村 実幸 先生

    (専攻医2年目)

    札幌医科大学 2019年卒
    (インタビュー時 卒後4年目)

  • 高柳 歩 先生

    (放射線科専門医 取得後1年目)

    北海道大学 2016年卒
    (インタビュー時 卒後7年目)

  • 鈴木 純 先生 

    (専攻医2年目)

    名古屋市立大学卒 2017年卒
    (インタビュー時 卒後4年目)

  • 井浦 孝紀 先生 

    (専攻医3年目)

    旭川医科大学卒 2016年卒
    (インタビュー時 卒後5年目)

  • 竹中 淳規 先生 

    (専攻医3年目)

    北海道大学 2016年卒
    (インタビュー時 卒後5年目)

年間のローテーション例

北大病院での初年度の研修では、6グループをローテーションする形で研修を行います。

 

 

各グループでの1日のスケジュール例

1. 脳神経グループ

月曜日のスケジュール例です。朝のミーティングが終わると、毎週テーマに沿った症例カンファが行われます。基本的に上級医の先生方がクイズ形式で症例提示をしてくださり、専攻医をはじめとした若手がそれに答えます。初めはわからないことだらけで何も答えられないこともありますが、先輩医師のフォローや指導医の先生方からの丁寧な解説がありますので、毎回とても勉強になります。
脳神経グループでは、脳や脊椎脊髄のCT/MRIの読影が業務の中心です。非常に専門性が高く難しい分野ですが、教科書に噛り付きながら必死に読影レポートを作成します。その後は指導医のチェックがあり、必ず質の高いフィードバックを受けることができます。これを毎日繰り返すことにより、確実に読影力が向上します。月曜日の夕方には神経放射線カンファレンスがあり、これに参加することで神経内科や脳神経外科の先生方からのニーズを探ることができます。基本的に診断に苦慮している症例が話題に挙がりますので、各科の討論を聴いているだけでも大変勉強になります。

※注射当番について

脳神経、体幹部、超音波、核医学のローテート中は、午前ないし午後に注射当番が割り当てられます。当番の業務内容としては、造影用ルート確保の補助、造影剤の投与、造影剤による副作用への初期対応、各科からの電話問い合わせへの対応などがあります。これらを基本業務と並行してこなさなくてはならないので忙しい日もありますが、どれも放射線科医として必須なものばかりなので頑張りどころです。最初は先輩医師に教わりながら行い、徐々に独り立ちしていきますが、いつも必ず近くに上級医の先生がいますので、何かあればすぐに相談することができます。

2. 体幹部グループ

木曜日のスケジュール例です。木曜日は朝カンファがあります。医局員全員が1年間で15分2回もしくは30分1回の発表をします。8時開始なので、それほど早くはない時間なのが嬉しいです。専攻医はローテーションの中で経験した症例を発表することが多いです。発表することで知識を深めることでき、学会発表の練習にもなります。また、指導医の先生方からの発表はセミナーのような感じで、専門分野の内容を聞くことができますので、非常に勉強になります。
一日のスケジュールは既述の脳神経グループのものとほぼ同様ですが、読影チェックは午前と午後の2回あります。読影対象は体幹部CT/MRIで、基本的にはその日の担当指導医の専門分野を中心に読影レポートを作成します。胸部、心血管系、消化器、泌尿器、産婦人科系、骨軟部など、体幹部は範囲がとても広く、症例のバラエティにも富んでおり、2か月間で多くの経験を積むことができます。大学病院でしか見られないような稀な疾患のフォローも少なくなく、治療前の画像も参照することで貴重な経験となります。
夕方の症例提示はほぼ毎日あり、基本的にその日にあった味わい深い症例の共有がなされます。
18:00からはリサーチミーティングがあります。主に学会や大学院の発表の予行を行います。発表内容を全員でしっかりと確認しますので、厳しい指摘もありますが、本番で困らないための対策になるため非常に重要な会です。

3. 超音波

一日中検査室にこもってひたすら超音波検査をやります。最初は甲状腺や頸部リンパ節、頸動脈などの頸部エコーから始め、プローブの扱いや機械の操作に慣れ始めた頃に腹部や下肢静脈エコーにも挑戦します。2か月間、技師さんによる懇切丁寧なマンツーマン指導を集中的に受けることができます。我々の想像が及ばないほどに卓越した技術を目の当たりにでき、しかも個別指導までしていただけるという非常に貴重な機会です。業務終了後は年次の近い医師にご協力いただき、自主練習もします。これらを継続することで徐々にスキルアップしていくのを実感し、楽しくなっていくことでしょう。
エコーは診断だけでなく、穿刺や生検などといったようにIVRにも多用しますので、エコーの操作に慣れることは放射線科医にとって必須課題といえます。一緒に頑張りましょう。

4. IVR

とある一日のスケジュールです。朝はカンファレンスから開始(金曜のみ朝8時開始)になります。一日として同じ日がないほど多彩な手技があります。専攻医の基本業務としてはIVRコンサルトPHSを常に身に着けつつ、できるだけ多くの手技に助手として参加し、まずはきちんと助手をこなせるようになることを目指します。当たり前ですが、事前に手技の予習をしてから臨むと学習効果がいっそう高まります。ある程度助手を経験した後はPICC挿入やCVポート造設などの術者を経験することで、IVRの基礎となるエコー下穿刺やover the wireのテクニックを身に着けます。臨時の手技も多く、帰宅時間が遅くなることもしばしばありますが、術者や助手を終えた後の達成感は他の何にも代えがたく、大変やりがいがあります。

5. 核医学

水曜日のスケジュール例です。朝8:00から抄読会が始まります。大学院生とスタッフが持ちまわりで最新の論文を紹介し、それを批判的に読む会です。様々な分野の最先端の知識を得られるほか、論文の読み方自体も学ぶことができます。内容としては難しいですが、貴重な機会ですので、大学院生以外の医局員でも参加している人もいます。
診断だけでなく治療も行うのが核医学診療科の特徴です。専攻医の基本的な業務は1)核医学の注射当番をこなしながらPET-CTやRIの読影を行うことと、2)核医学治療のために入院している患者さんの病棟管理です。注射当番では主に放射性薬剤の投与を行います。各薬剤の特徴を実際の検査を見ながら勉強できる絶好の機会です。RI当番では静脈路の確保も医師が行いますので、注射の訓練にもなります。検査が終了し、画像が出来上がり次第、読影レポートの作成を行います。レポート作成に関しては随時、指導医の指導を受けます。お昼には前日のRI症例をみんなでレビューします。病棟では甲状腺癌やバセドウ病に対するI-131内用療法、悪性褐色細胞腫や傍神経節腫に対するI-131 MIBG治療に関わります。治療用の大線量の非密封RIの投与だけでなく、治療前の準備や、治療後の方針決定にも関わります。がん治療全体における核医学治療の位置付けを学ぶことができます。
研修の最後には、核医学関連で勉強したことや印象深かった症例などを発表する場が設けられており、学んだ知識を整理する良い機会となっています。

6. 放射線治療科

基本的には専攻医が病棟当番を担い、一日を通して病棟からの1st callを受け取ります。一日のスケジュールとしては、まず朝の病棟回診や処方、カルテ記載を行います。回診の際にはそれぞれの患者さんがどのような治療をどのくらいまで終えているのか、有害事象が生じていないか、有害事象に対してどのような対応がされているのかなどを事前に知っておく必要があります。この経験がそのまま専門医試験対策にもつながります。
午後は主に治療計画を作成します。放射線診断専門医の取得を目指す場合でも最低30件の治療計画作成が必須となっていますので、この2か月間でそれを達成できるように頑張ります。この治療計画の作成ですが、診断専門医志望でもハマる人はハマるらしく、かなり楽しみながら作成している人もいます。
研修の最後にはリサーチミーティングでの発表があります。
放射線治療に関してもっと詳しく知りたい方は放射線治療学教室のホームページもご参照ください。